病院で話題のニュークックチルシステムにも対応
三愛会総合病院
三愛会総合病院は1986年5月に三愛会病院として三郷市に開院され、2022年11月には、現在の三郷市彦成に移転。96床増床し、総病床数274床で運営されている。
病院の厨房作業の軽減へ
栄養科 管理栄養士の川村科長にお話を伺った。
病院では、患者さん用の病院食は厨房で準備されており、クックサーブ(加熱等の調理後すぐに提供する調理システム)で都度調理していたため、早番業務や提供前のピーク時はいつもマンパワー不足となり、毎回管理栄養士が厨房補助に入らなければならない体制であった。そこで、効率化を図るため、移転を機にニュークックチルを導入し、調理補助を行っていた管理栄養士の方々は病棟の業務に専念しようと試みたという。しかし一つ問題が生じていた。
三愛会総合病院のニュークックチルは、完全調理品を購入し、チルド状態のまま盛付をおこない、食事を提供する前に再加熱し配膳する方式なのだが、炊飯だけは病院の厨房で行わなければならない。仮に、配膳直前に炊き上げたご飯を一つひとつ計量しながら茶碗に盛り付けていたら、クックサーブ方式と大差なく、これでは調理スタッフの作業負担は減らない。
冷たいご飯を盛り付ける方法もあるが、氷のように冷たく固まったご飯を計量しながら手で盛り付けるのは非常に負担が大きい。しかも衛生管理上、前倒し調理でご飯を盛付ける場合は、3℃以下で管理しなければならず、手でご飯を盛り付けるとご飯が3℃以上になる可能性が高く、ニュークックチルが成立しない。
もう一つの問題もあった。ご飯の盛り付け作業時間である。
盛り付け作業は、人によりかかる時間が異なるため、どうしても遅い人に合わせることとなり非効率で、計量にも誤差が生じる。そのチェックと修正も提供時間のロスにつながっていた。
問題解決はFuwaricaの導入にあった
そうした問題を解決するのにたどり着いた施策が、スズモのご飯盛り付け機「Fuwarica」の導入であった。
ニュークックチル方式の場合、ご飯は軟らかめに炊飯するので冷却するとダマになりがちでふんわり盛り付けることが難しいのではないかと懸念もあったが、水溶性食物繊維を添加し炊飯することで、冷却後もダマにならずにパラパラとほぐれ、Fuwaricaでも問題なく盛り付けることができた。
実際に盛り付け作業を見学すると、スタッフ一名が手際よく作業を行っていた。
冷却したご飯を素早く盛り付ける
作業の流れは、まずチルド庫から取り出した冷却飯を、Fuwaricaに補充する。後は、杯数とグラム数をボタンで設定するだけで、ご飯が連続で茶碗に素早く盛り付けられる。1食あたりの提供数(約90人分)がわずか20分ほどで完了する。
誰でも短時間で盛り付けられるので冷却ご飯の温度上昇も抑えられ、熟練した盛り付け技術が不要なのも助かっているとのこと。
Fuwaricaを使い、翌日の昼食までの約300人分を負担なく素早く盛り付けられるようになったことで、前倒し作業も日中の勤務時間内に完了できるようになり、早番業務も無くなった。
「ニュークックチル方式の厨房が順調に稼働するようになったことで管理栄養士が厨房業務に関わることはなくなり、栄養管理に専念できる体制となっています。管理栄養士が病棟に常駐する時代、給食業務を安定的に運営できるニュークックチルの導入は不可欠で、同時にFuwaricaもマストアイテムとなるかもしれませんね(笑)」と川村科長は話していた。
Fuwarica GST-FBBと厨房スタッフのみなさん
取材協力:三愛会総合病院